ロトの予想サイトでよく見かけるのが、これです。
「今回はFセットだから、この数字が来る」
ミニロトの抽選に使う球は、同じものが何組も用意されています。どの組を使うかは、抽選の当日に決まります。
もし組によってクセがあるなら、大きな手がかりです。
ロトボットではすでにロト7とロト6で同じことを調べました。今回でくじ3つぶんがそろいます。
・セット球とは何か、誰がいつ決めているのか
・1,400回でいちばん極端だった組み合わせはどれか
・その極端さが「普通のブレ」なのかどうか
・セット別の数字を買い続けたら成績はどうなったか
・くじ3つを並べると何が見えるか
① まず「でたらめならどうなるか」を計算します。
② つぎに実際のデータと比べます。
③ その差が普通のブレの中かどうかを見ます。
この3ステップだけです。むずかしい言葉は水色の囲みにまとめたので、読み飛ばしても話は通じます。
ミニロトの抽選機に入れる球は、31個で1組です。
その組がA から J までの10組あり、抽選の当日に、どの組を使うかが決まります。
つまり前もって知ることはできません。抽選が終わってから「今回はFだった」とわかる仕組みです。
ここが最初の大事な点です。クセがあったとしても、買う時点ではどの組が使われるかわかりません。
10組 × 31個で、310マスの表ができます。
全1,400回を数えて、いちばん極端だったマスがこれでした。
23回出るはずのところが9回。4割ほどしか出ていません。
「Fセットのときは12番を外せばいい」と言いたくなりますし、実際こういう数字を根拠にした予想はよく見かけます。
でも、ここで立ち止まる必要があります。
いま見ているのは310マスの中でいちばん極端だったマスです。
310個もマスがあれば、全部がでたらめでも、どれか1つは必ず極端になります。
そこで、公平な抽選機で同じことを2万回くりかえして比べました。
| いちばん極端なマス | |
|---|---|
| 実際のデータ | 141回中9回 |
| 公平な抽選機でも これ以上に極端になる割合 | 約52% |
※ セットの割り当てだけを切り直して2万回ためした結果です。
つまり公平な抽選でも、2回に1回はこれくらい極端なマスが出ます。
コインを投げて表が出るのと同じくらい、ありふれた出来事だったわけです。
ここが今回いちばん大事なところです。
もしセット球に本物のクセがあるなら、そのクセはいつ測っても同じ向きに出るはずです。球の重さがわずかに違うなら、昔でも最近でも同じ数字が出にくいはずですよね。
そこで期間を割って、310マスのズレ方がどれくらい似ているかを点数にしました。
| くらべた期間 | 似ぐあい |
|---|---|
| 前半 と 後半 | 5.1点 |
| 4分の1期 と 4分の2期 | −3.3点 |
| 4分の3期 と 4分の4期 | 5.9点 |
※ 完全に同じなら100点、まったく無関係なら0点になる点数です。
どれもほぼ0点でした。マイナスすらあります。
前半でよく出ていた組み合わせは、後半ではまったく別でした。クセが続いていません。
本当に買い続けたつもりで計算しました。抽選のセットがわかった時点で、そのセットで過去によく出ていた16個を選びます。
そして当せん5個のうち何個が入っていたかを、1,200回ぶん数えました。
| 選び方 | 当せん5個のうち 入っていた数 |
|---|---|
| セット別によく出た16個 | 2.617個 |
| セットを無視した16個 | 2.618個 |
| でたらめに16個 | 2.581個 |
※ その回より前のデータだけで選んでいます(あとから答えを見ないため)。
セット別とセット無視が、ほぼ同着でした。差は0.001個です。
手間をかけてセットごとに数えても、まったく見なかった場合と変わりません。
「Aばかり使われている」という話も聞くので、使用回数も数えました。結果は下のとおりです。
| セット | 使われた回数 |
|---|---|
| いちばん多い(A) | 160回 |
| 平均 | 140回 |
| いちばん少ない(D) | 130回 |
AとDで30回の差ですが、公平でも10回中8回以上はこれ以上の差がつきました。
正直に書いておきます。どのセットを使ったかを、主催者は公表していません。
今回使ったのは、抽選を記録している第三者のサイト2つのデータです。そしてどちらにも落とし穴がありました。
① 1つ目のサイト … 末尾の「A〜Jの凡例」がデータの続きとして混ざり、さらに50回ずつの区切りのうち1つで1回ぶんが抜けていた(そこから後ろが1回ずつズレる)
② 2つ目のサイト … ページの見出しと中身の回号が59回ずれていた。「第1回〜第201回」と書かれたページの中身は、実際には第60回〜第260回だった
②が厄介です。見出しを信じて読み込むと、1,400回ぶんが丸ごと59回ずれます。
そこで、2つのデータを回号どうしで突き合わせて確かめました。
| ずらした量 | 一致した割合 |
|---|---|
| 59回ずらす | 9.5% |
| 1回ずらす | 1.2% |
| ずらさない | 99.68% |
ずらさないときだけ99.68%。中身の回号のほうが正しく、見出しが間違っているとわかりました。
食い違った4回はどちらが正しいかわからないので、検証から外しました。これが母数1,400回の中身です。
この検証では、教科書どおりのカイ2乗検定を使っていません。ミニロトは1回に5個を「重複なし」で引くため、帰無仮説のもとでの統計量の期待値が自由度270より小さくなり、そのまま当てはめると p が大きく出て本当の偏りを見落とします。そこでセットの割り当てだけを並べ替える検定(2万回)を使いました。全期間のばらつきは p=0.24、期間を4つに割っても最小で p=0.10 と、いずれも普通のブレの範囲です。計算に使ったプログラムは tools/setball/ に置いてあります。読み飛ばしても結論は変わりません。
これでロト7・ロト6・ミニロトがそろいました。
| くじ | 調べた回数 | いちばん極端なマスが 偶然で起きる割合 |
|---|---|---|
| ロト7 | 694回 | 5回に1回 |
| ロト6 | 2,135回 | 3回に2回 |
| ミニロト | 1,400回 | 2回に1回 |
数字の個数も、選ぶ数も、抽選の曜日も違う3つのくじです。
それでも結論は3つとも同じでした。セット球で数字の出方は変わりません。
別々のくじで別々のデータを使って、同じ答えが出た——これは結論をかなり信じてよい、ということです。
ここまで読んで、がっかりさせてしまったかもしれません。でもセット球を見るのをやめる必要はありません。
抽選のあとに「今回はFだったのか」と確かめるのは楽しいものです。数字を選ぶときの取っかかりにもなります。
ミニロトの組み合わせは約17万通り。3つのくじの中ではいちばん当たりやすいぶん、迷ったときの手がかりはほしくなります。気をつけたいのは、ひとつだけ。
「Fセットだから、いつもより多く買う」——この使い方だけは、おすすめできません。
どのセットでも、どの数字でも、1回の抽選で選ばれる見込みは約16%のままだからです。
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